手話のまち 東京国際ろう芸術祭(TIDAF)は、日本のろう者が中心となった芸術祭です。
以前は東京国際ろう映画祭として、2年ごとに渋谷で開催し、国内外の監督や俳優を招待してきました。今年2025年11月、東京国際ろう映画祭の拠点を高円寺に移し、「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」として新たにスタートします。開催日は東京デフリンピックウィークの1週間前となる2025年11月6日(木)から11月9日(日)の4日間です。
本芸術祭では、国内外の舞台や映画を中心に、ろう/難聴や手話に関連する作品を上映・上演します。視覚で世界を捉える人々の視点から生まれる最先端の表現の場を共有することで、より豊かな社会とろう芸術の発展に寄与します。またマルシェやフリンジなどひらかれた場を創出することによって、地域の人々との出会い、聴者とろう者・難聴者の相互交流の場を提供します。
2025年、記念すべき第1回「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」が、いよいよ始まります。
この芸術祭は杉並区との共催で、座・高円寺を中心に開催されます。東京・杉並区からろう芸術文化を発信する国際的な舞台として、国内外のアーティストが集い、交流を深める場となります。
地域社会と芸術、ろう者・難聴者と聴者のあいだに、新たな化学反応とつながりが生まれることを目指しています。
今回は、演劇・パフォーマンス・映画など、ジャンルを超えた多彩な作品が国内外から集まりました。
どの作品も、参加者や観客に新たな視点をもたらしてくれることでしょう。
ろう者の身体や感覚から生まれる芸術、聴者の視点から見たろう者・難聴者像や手話――その多様なまなざしは、訪れる皆さんにとって、きっと新たな発見となるはずです。
正直なところ、この企画を立ち上げた当初は、「この芸術祭が杉並区に受け入れてもらえるのだろうか」という不安もありました。
しかし、いざ蓋を開けてみると、「新しい文化を受け入れることこそが、杉並区の文化である」と実感する出来事に何度も出会いました。
杉並区の懐の深さ、そして多くの方々が「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」を温かく歓迎してくださったこと。
さらに、「この芸術祭だけで終わらせてはいけない。杉並区に手話が根付くようにしなければ」という熱い言葉をかけてくださった方々に、心から胸を打たれました。
今回の芸術祭では、10月15日から11月30日までの期間、高円寺の商店街を巻き込んだ「手話のカードラリー」という新たな試みも行います。
これは、キービジュアルを手がけてくださった、オーストラリア出身のろう者アーティスト、ジェイコブ・キャンベル(Jaycob Campbell)さんのイラストと手話動画が埋め込まれたカードを、商店街でのお買い物を通じて集めていただくプロジェクトです。
さらに芸術祭期間中は、ふらりと立ち寄って、誰もがその場で「ろう文化」を身体で感じられるよう、無料で楽しめるサテライト企画も多数ご用意しています。
デフリンピックの開催月にあたるこの11月、杉並区は4日間にわたり「手話のまち」となります。
この芸術祭をきっかけに、どのような化学反応が生まれるのか。私自身、とてもワクワクしています。
皆さんと一緒に、この祭りを盛り上げていけたら嬉しいです!
総合ディレクター 牧原依里
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭2025」のロゴは、手話の持つ身体性やリズムに着目して制作されました。
本ロゴでは、手話が視覚言語であると同時に、身体を通じた表現であることに焦点を当て、新たなアプローチを試みています。
「手話のまち」というコンセプトのもと、デザイナーのいすたえこさん、プログラマーの林洋介さんとともに、手話の動きをモーションデータとして可視化し、その流れからロゴの形を導き出しました。
動きの中にあるリズムや視覚的な美しさを抽出することで、手話の言語性と芸術性の融合を象徴するロゴが完成しました。
このロゴが、ろう文化の多層的な魅力や可能性を伝えるシンボルとなり、より多くの人々に手話とろう文化への関心と共感を広げるきっかけとなることを願っています。
全体統括
牧原依里、手話のまち事務局
アートディレクション
徳江サダシ、和田夏実
ロゴデザイン
いす たえこ
プログラム
林洋介
スペシャルサンクス
新井正和
2025年を象徴するキービジュアルは、「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」のロゴをベースに、オーストラリアを拠点に活動するろう者のビジュアルアーティスト、ジェイコブ・キャンベルによって制作されました。鮮やかなピンクと対照的なターコイズブルーの融合が、ダイナミックな“手”の造形を生み出しています。2025年11月、この“手”のかたちが、高円寺のまちに広がります。
ジェイコブ・キャンベル氏からのメッセージ
この度は、東京国際ろう芸術祭に関わらせていただく貴重な機会を賜り、心より御礼申し上げます。
色彩とバイブスに深く感銘を受け、日本手話についても少し学ばせていただくことができました。
手話のまち 東京国際ろう芸術祭のために日本を訪問します。皆さんに私の作品をご紹介できることを心待ちにしています。
Jaycob Campbell(ジェイコブ・キャンベル/Gonketa)
オーストラリア出身、ナーム(メルボルン)を拠点に活動するろう者のビジュアルアーティスト。
彼の作品は、手や身振りによって生まれる「動き」や「かたち」に焦点を当て、視覚コミュニケーションの重要性を大胆かつ鮮やかな色彩と誇張された表現を通じて探求している。
アートを通じて、オーストラリア手話を使う人々やろうコミュニティの自己決定を支え、そこに生きた足跡と文化的な遺産を残すこと、そして、「私たちは常にここにいる」というメッセージを社会に伝えていくことを使命としている。
Instagramアカウント @gonketa_
手話のまち 東京国際ろう芸術祭2025
パートナーズ・サポーターズ
主催
一般社団法人 日本ろう芸術協会
文化庁委託事業「令和7年度障害者等による文化芸術活動推進事業」
提携
共催
杉並区
杉並区聴覚障害者協会
社会福祉法人トット基金
NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)
一般社団法人異言語Lab.
IMAGINUS(株式会社コングレ)
後援
一般財団法人全日本ろうあ連盟
公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構東京都聴覚障害者連盟
東京⼤学 先端科学技術研究センター当事者研究分野
連携
協力
NPO法人 東京高円寺阿波おどり振興協会
静岡×カンヌ×映画プロジェクト実行委員会
助成
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
【芸術文化魅力創出助成】